本作はアルゼンチン出身の演劇/映像作家マルコ・カナーレによる演劇プロジェクト。2017 年にアルゼンチンのブエノスアイレス国際フェスティバルで初演、2019 年6 月、Theaterformen フェスティバルでドイツ版を発表。2021 年に発表する新作では、東京の街を舞台として、そこに暮らす高齢者と共に作るツアー型演劇作品を中心に展開する。世界が東京に注目する中で、高齢化社会を迎えた日本の首都東京において、その土地の高齢者と出会い、彼らを通して「東京」の文化や歴史に触れることで、新たな気づきを促す。
――東京に住む高齢者はどのように生きてきたのか?
――東京という土地をどのように見つめているのか?
東京をリサーチし、そこに暮らす高齢者にインタビューをして彼らの記憶や体験を基にした物語や、この土地に紐づく歴史に焦点をあてる。ツアー型の演劇作品を中心に、短編動画とドキュメンタリー映像によって補完しながら、東京という都市を様々な角度から見つめ、その先の未来をも想像させる作品を制作する。
公募により集まった東京在住の65歳以上の13名の出演者と共に東京の街をめぐるツアー型演劇です。まず、東京に暮らすシニア世代の個人史がパフォーマンスを交えて語られます。そして東京でのリサーチをベースにマルコ・カナーレが書き下ろした、過去・現在・未来の世界が交錯するフィクションの物語を上演します。異なる文化や歴史を背景にもつ演出家が出演者たちとの創作プロセスを通して、彼らと“共に人生をみなおす”ことで紡ぎ出された物語です。俯瞰的な視点の歴史や文化、伝統に、そこで生きる個人の思い出や価値観などいくつもの断片をちりばめた唯一無二の“東京”を体感する公演となります。
演劇、映像作家。1977年生まれ、ブエノス・アイレス出身。都市を旅して周り、公共またはプライベートの、あるいは神聖な場所を訪れ、伝記、ドキュメンタリー、フィクションを通してその土地のコミュニティと共に創作を行う。「The Speed of Lightプロジェクト」は、高齢者の方々と共に、彼らの土地を舞台として、その個人史を深く理解し、彼らの未来を描くという記念碑的なサイト・スペシフィック・プロジェクト。ブエノス・アイレスで初演、その後ドイツ版を発表。その他にも作品は様々な国や文化圏で上演されており、エディンバラ・フェスティバル (UK)、 世界文化の家 (ベルリン)、Theatre Row (ニューヨーク)、 ヤング・ヴィク劇場 (ロンドン)、BAD Bilbao (スペイン)、Casa de América (マドリッド)、Cervantes Theater (アルゼンチン)にて発表。