1960年代の日本に始まり、世界へ広まった身体表現「舞踏/BUTOH」を、今も成長を続ける日本発の芸術文化と捉え、現在の視点から再考します。白塗りに代表される様式を超えて、自由な発想で舞踏の本質に迫ることを試みる実験的作品を、新旧世代の混じる多彩なアーティストとともに展開し、その魅力を伝えます。
銀座の街を大胆に使って、舞踏の黎明期を写した写真家ウィリアム・クラインの作品展示を行います。オンラインでは、舞踏の過去・現在・未来を一望する展示を開催。街の風景と共に作品を味わえるリアルな展示と、じっくりと鑑賞できるヴァーチャルな展示、それぞれの特性を活かして展開します。
1961年に初来日した写真家ウィリアム・クラインは、約2ヶ月間東京の街を駆け回って撮影し、64年に写真集『東京』を発表しました。その中から銀座を写した10点をセレクトし、壁いっぱいに引き伸ばして展示します。オリンピックを控えて混乱と熱気に包まれていた都市を、世界的写真家の眼はどう捉えたのか。日常の風景の中に、突如として60年前の景色が現れる、都市型の写真展です。
1961年の雨上がりの銀座・新橋街頭で、のちに舞踏の創始者とされる土方巽、大野一雄、大野慶人を撮影したウィリアム・クラインの足跡を辿ります。地図に示された場所へ赴き、スマートフォンをかざすと、そこで撮影された一連の写真を見ることができます。街そのものを展示空間にみたて、1961年と2021年の風景を重ね合わせながら350点超の写真をスライドショーで鑑賞する、新感覚の街歩き型AR作品。
舞踏は前衛芸術の先頭を直走っていただけでなく、芸能界をはじめとする商業的な世界とも密接に結びつきながら発展してきました。キャバレーやCMで踊り、万博映画に出演し、音楽番組のバックダンサーを務め、近年は人気TVドラマにも登場するなど、多方面で活躍してきた舞踏家たち。様々なメディアやジャンルと結びつき、社会に影響を及ぼしていった舞踏の歴史を、イラストとともに振り返ります。
世界を飛び回り、ダンス・演劇・映像とマルチジャンルで活躍する人気アーティストたちの新作と話題作を無観客上演・撮影し、オンラインで配信します。
2014年より写真家・歴史家のウィリアム・ジョンストンとともに福島の被災地を5回訪れ、撮影を重ねてきたニューヨーク在住の尾竹永子。その膨大な写真をアメリカ各地で展示、また映像に編集して映写、それとともにソロ公演も続けてきました。震災から10年の節目に、生まれ育った東京の街なかと地下空間に福島のイメージを投映し、自らの身体を重ねていきます。その姿を撮影した『A Body in Places』を、プロジェクトの6年を追った『福島に行く』とペアで配信します。
2013年の初演以来世界38都市で上演を重ね、2016年にはベッシー賞にもノミネートされた川口隆夫『大野一雄について』を、8年ぶりに東京で再演。伝説的舞踏家・大野一雄について、一方ではその動きを記録映像から「完全コピー」することで忠実に再現し、他方ではその世界観の大胆な再解釈を試みる話題作を、映像ならではの演出でお届けします。
パフォーマー川口隆夫のディレクションのもと、「舞踏」を批評的視点で考察していくパフォーマンスシリーズ「舞踏 ある視点」を開催。ジャンルを横断して活動する気鋭のアーティストを招き、川口本人の新作『ミノタウロディスコ』を含む約10作品をオンライン配信します。
【参加アーティスト】
伊藤キム、川口隆夫、小林勇輝、酒井直之、佐藤ペチカ、田辺知美、吉本大輔 ほか(50音順)
大野一雄アーカイヴの芸術資産とノウハウを核に、横断的なダンスアーカイヴの意義の周知と国際ネットワークの構築を推進している。舞踊文化の継承と振興に寄与することを目指し、資料の収集保存に加え、それらを活用した作品制作も企画。また3D技術による新たなアーカイヴ手法の開発に取り組んでいる。